今や国内に500万台以上ともいわれる防犯カメラ。金融機関や公共施設はもちろんのこと、マンションやアパート、商店街など街中いたるところに設置されています。
映像はより鮮明に、録画や保存はより長時間にと、技術も進化を続けます。
防犯カメラの映像が決め手になった事件とは
防犯カメラが事件の捜査に不可欠なものと顕著に表したのが、オウム真理教事件に関わる者の逮捕劇でした。実行犯の1人として、特別指名手配被疑者に指定されていた元信者。長年に渡る逃亡生活に終止符をうったのは、防犯カメラの映像だったといいます。
警察は、金融機関や職場、コンビニの防犯カメラに映った被疑者の姿を連日公開して情報提供を呼びかけました。顔のみならず、スーパーの防犯カメラに映った、歩き方やしぐさが分かる動画や、タクシーに乗り込む際に少しだけ映った足やかばんの画像なども随時公開したのです。
こうした映像の提供及び公開が、リアルタイムで広く世間の注目を集めるきっかけとなり、市民からの通報、そして逮捕へと至ったのです。
この逮捕劇の他にも、黒子のバスケ事件や柏通り魔事件など、防犯カメラの映像が被疑者の逮捕へと導く事例が増えています。
事件が発生したとき、捜査がスムーズに進むということは、被害の縮小、迅速な事件解決、その後の犯罪抑止にもつながります。
今後も防犯カメラの設置数が増え、その性能が向上することで、警察の捜査にとって、より欠かせないものとなるでしょう。
目的に応じて設置される防犯カメラ
防犯カメラの設置は、警察の事件捜査に協力するだけではありません。あくまで捜査に役に立つかは結果論。人々の安全、建物や財産を守ることが本来の目的です。
例えば、東京都が2018年までに都内の全公立小学校の通学路に防犯カメラを設置する事業を始めたのは、子供の安全を守るためです。いまや、交通時点多発地帯や人通りの少ない路地裏、意識せず歩いていると気が付かない場所にも防犯カメラは設置されています。
[su_box title="ストーカー規制法の対象となる行為" box_color="#d6c6af" title_color="#494a41" radius="0"]近年導入が増えているのは神社仏閣。防犯関連のサイトには、神社仏閣向けの防犯対策が数多く紹介されています。頻繁にニュースで取り上げられる転売目的の盗難のみならず、賽銭泥棒、いたずらや破壊、放火にいたるまで、神社仏閣は犯罪が多発する場所です。
24時間施錠されておらず誰でも入れる場所や、常に無人の空間も多い為、犯罪において、そこは格好の場所なのです。誰でも入れるという点で同じ田畑もまた、転売目的での窃盗被害に対策が急がれており、意外な防犯カメラの設置場所の1つとなっています。[/su_box]
抑止のため目立った場所に置くカメラや、不審者を監視するために木や建物に同化させ設置するカメラ、タブレットでの遠隔地操作など、目的に応じて多様化されています。
まるわかり!防犯カメラ歴史について
今ではこのように、さまざまな場所に設置されている防犯カメラですが、歴史をひも解くと、そのルーツは、白黒の映像管を利用した工業用カメラです。1960年代当初は、ダムの水位や発電所、工場の管理が目的とされており、現在のような防犯目的で開発した訳ではありませんでした。
その後は機能向上や小型化、量産が進み、 1980年代にはカラー化、1990年代にはデジタル化と、防犯カメラの性能は進化してきたのです。技術革新とともに工業用監視カメラから一般向け防犯カメラへと応用が働くようになりました。
技術が向上すると当然、用途も広がります。かつて、たった1カ所を近場でしか映像確認できなかった状態から、遠隔地で複数カ所かつ多角度からリアルタイムで監視できるネットワーク型までに進歩したのは周知の事実でしょう。
異常事態の監視はもちろんのこと、不審者や侵入者の記録、事件事故の記録、外部犯の犯行抑止のみならず内部の背任行為の抑止まで、防犯カメラが担う役割は、今や人の目以上のものとなっています。
活躍してきた防犯カメラの今後
物から人の安全を守るものへと進化を遂げている防犯カメラ。現在もなお、世界的な規模で設置台数は増加しています。今後、さらなる機能向上や低価格化により、防犯カメラは個人法人問わず、より身近なものとなるでしょう。国や自治体が大々的な設置事業を行っています。
そのうち一家に一台という時代がやってくるかもしれません。
防犯カメラがどのような進化を遂げようと、設置台数が増えようと、油断や過信は禁物。ここが1番のポイントですよ。[/voice]
また、性能が悪い安価な防犯カメラや、死角を狙えと言わんばかりの安易な設置は、知識のある犯罪者に防犯の甘さを知らしめることにもなります。
本来、防犯とは検挙率の向上や事件の記録が目的ではありません。
防犯カメラの進化は、犯罪ありきでの記録機能だけでなく、検挙から抑止へ、監視から防犯へ向かうためが理想の在り方なのです。
今後も向上し続ける防犯カメラの優れた機能を、誰がどう使うか?使い手の能力も問われはじめています。